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盆栽の町に根を張るJA交流拠点

  • 香川県 JA香川県 高松盆栽の郷(香川県高松市)
  • 2024年5月

生産者と消費者を絶妙にマッチング

盆栽の町に根を張るJA交流拠点

自然美と人工美の調和が見どころの盆栽。その日本古来の文化に新たな息を吹き込む盆栽職人、JAを訪ねました。

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 香川県高松市は全国有数の盆栽産地です。なかでも鬼無・国分寺地区で生産される松盆栽は、全国で約八割ものシェアを誇っています。
 この地で盆栽づくりが始まったのは約二百年前のこと。昭和四十年代の最盛期には、この地域だけで三百軒の生産者がいたそう。ところが、現在では六十軒ほどに減少しています。
 そこで令和二年、前身の国分寺盆栽センターをリニューアルして誕生したのが「高松盆栽の郷」です。五百円の苗木から数十万円の本格的な盆栽まで、一万点以上におよぶ盆栽を日常的に展示・販売。イベントも開催して、新たなファンの開拓をしています。

食農教育のように盆栽と触れ合う場を

 取材に訪れた日に開催されていたのは「盆栽WEEK針金掛け教室」。参加者は松に針金を巻いて、形を整える技術を学んでいました。講師は、なんと盆栽の生産者です。
「針金を巻き終わったら、好きな形にゆっくり曲げていってくださいね。黒松はしなりがあるので、ボキッとなることはないと思いますよ」
そう促されてチャレンジする参加者。
「すごい! こんなに曲がるなんて思わなかった」
「見て、かわいくできた」
 うれしそうな声が、あちこちから聞こえてきます。約一時間半の教室を終えた後、改めて感想を聞いてみました。
「ちょっと難しかったけど、おもしろかったです」
「今日はとても楽しかったので、次回も参加します!」
 みなさん、大満足だったようです。一方、講師を務めた三谷雄一郎さん(45)。
「一般の方は発想がおもしろく、自分も勉強になります」

 さらに、山地孝政さん(29)は、高松盆栽の郷の存在意義について、こう話してくれました。
「一般の方が盆栽園に足を運ぶのは、ちょっとハードルが高い。でも、ここだと自由に見られ、親身に説明もしてくれます。ここをきっかけに、われわれの盆栽園に買いに来てくれる方も多いんですよ」

 また高松盆栽の郷では、亀山孝一郎所長の「まずは盆栽に興味を持ってもらうことがだいじ」という考えのもと、昨年十月に開催した盆栽フェスタでは「盆栽オークション」や「ストリート盆栽」「盆栽カフェ」「盆栽格付けチェック」など生産者のアイデアでイベントを企画。現在は「絵画コンクール」「親子de盆栽教室」など、対象を子どもに広げています。
 亀山所長は言います。
「食農教育のように、小さい頃から幅広い世代が盆栽と触れ合う機会をつくれたらいいですね」
 高松盆栽を次代へつなぐ架け橋として〝高松盆栽の郷〟の存在意義は、ますます高まっていきそうです。

文=茂島信一 写真=吉田真也

詳細情報

JA香川県 高松盆栽の郷

住所/高松市国分寺町国分353-1
電話/087-874-2795

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