地域にエール!

地域を彩り笑顔を咲かせるヒマワリ畑

  • 神奈川県 JAあつぎ(神奈川県厚木市)
  • 2024年8月

地域を彩り笑顔を咲かせるヒマワリ畑

コロナ禍に始まった「地域にヒマワリを咲かせる活動」。
小さな一歩から、地域全体が盛り上がっています。

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 東丹沢山系の豊かな自然が広がる厚木市飯山の小鮎地区。山々の新緑が目にまぶしい五月上旬、小鮎地区の集落組織、打越生産組合では、三年めとなる「地域にヒマワリを咲かせる活動」(以下、ヒマワリ活動)に取り組んでいました。圃場を活用したヒマワリの種まきには、地域の大人から子どもまで約二十人が集まっています。
「去年は十人ほどの参加でしたが、今年は倍の人数が集まりました。子どもが増えるとにぎやかでいいですね」
 そう話すのは、小鮎地区・打越生産組合の組合長・臼井輝夫さん(73)です。

 圃場主の臼井秀美さん(72)が種のまき方を説明したあと、待ちかねたように圃場へ入っていく子どもたち。一粒一粒、ていねいに種をまいて土で覆っていきます。「いつ咲くの」「もっとまきたい」との無邪気な言葉に、大人も自然と笑みがこぼれます。
「去年は多めに種をまいて、間引きに苦労。今年はきちんと間隔を測って、圃場主にも場所を少し広げてもらいました」と、組合長の臼井さん。
 播種から二か月ほどで開花するヒマワリ。去年はお盆の時期に満開となり、地域の人が訪れる姿が見られたそう。また圃場に隣接する広場では、マルシェなどのイベントが開催されるため、おおぜいの人が満開のヒマワリ畑を楽しんでくれたと、臼井組合長。
「咲きっぷりが、きれいでね。地域外から訪ねてくれた人も多かったです」

PR資材を提供 品種も増やす

 各地区の生産組合とJAによる「ヒマワリ活動」のきっかけは、コロナ禍の社会活動制限でした。当時、各地区での生産組合活動やJAとの協同活動の多くが、延期や自粛を余儀なくされました。
 JAでは「いまだからこそできる活動」がないか、全職員に投げかけました。すると、二百五十八ものアイデアが集まり、そこから選ばれたのがヒマワリ活動でした。

 令和四年春、一年めの活動としてメッセージを添えたヒマワリの種を、生産組合員に届けました。
「六千四百人の全生産組合員に、組合の重要性や結びつきのたいせつさをメッセージに記し、コロナへの不安な気持ちの癒やし、会話の種になればと贈りました」
 当時を振り返るのは、JAあつぎ組織基盤対策課・課長の吉田敦さん。
 贈られた種は庭や圃場へとまかれ、管内を彩るヒマワリは、多くの人を元気づけました。そこで二年めの令和五年春、ヒマワリ活動に賛同する団体(組織)へと種の配布を広げることにします。
「生産組合から自治会や女性部へつなげ、地域を盛り上げてほしいと提案。十三団体から賛同をいただきました」
 二年めは種と共に、PR看板や活動資材を要望に応じて提供。播種や満開の様子、活動報告をJA広報誌に掲載します。それらの成果もあり、三年めの今年も多くの団体から申し込みがあったと、喜びを隠せない吉田さん。
「今では、賛同いただいた各団体にて工夫した活動をしていただいています。駅前地区など、畑が少ない地区ではプランターや花壇を利用したり、咲いたヒマワリをイベント時にプレゼントしたり、活動の広がりとともに、アイデアを生む人と人とのコミュニケーションの輪が広がっていることを実感しています。JAとしても、提供する種子の品種を増やすなど、アイデアに応えています」
 品種の違いを巧みに使い、圃場をデザインしている団体もあるそうです。

 さて小鮎地区・打越生産組合の種まきは、一時間ほどで無事終了。圃場から帰っていく参加者の姿を見守りながら、臼井組合長は言います。
「ヒマワリはさほど手がかからないため、主催側も無理なく管理できます。小さく始めた活動ですが、地域全体の活動に広がってうれしいです」
 夏のヒマワリ畑が好評のため、来年春は「菜の花畑づくり」を計画していると、臼井組合長。
「みんなが楽しめて、花の力で地域が盛り上がる。子どもも大人も集える活動として、今後も続けていきたいです」
 生産組合、地域の結びつきのたいせつさを託したヒマワリの種は、地域活性という大輪の花を咲かせ始めています。

文=森 ゆきこ 写真=福地大亮 写真提供=JAあつぎ

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