地域にエール!
農福連携はみんながウインウイン
- 佐賀県 JAさが 佐城園芸センター(佐賀県小城市)
- 2024年9月
人手不足の解消と就労支援につながる
農福連携はみんながウインウイン
JAと福祉事業所がタッグを組み労働力を補って雇用も創出しています。
新たなパートナーシップが地域に笑顔をもたらしています。
佐賀市と小城市、多久市にまたがる佐城地区。JAさが佐城園芸センターのタマネギ選果場では、三年前から、地域にある福祉事業所のみなさんが大活躍しています。
任されているのは、収穫されたタマネギの根と葉を、はさみで切る作業。午前十時~午後三時、選果場のあちこちでチョキチョキという軽快な音を響かせています。
こうした農業と福祉の連携、いわゆる農福連携事業が、佐城地区で始まった背景には、タマネギ選果場が抱えていた課題がありました。
佐賀平野の一角にある佐城地区では、麦刈りが終わると、その後すぐ田植えの準備に入り、それに加えてタマネギが収穫されます。
しかも、従来は自宅でしていた根切り・葉切り作業を、JAに委託する農家が年々と増えていました。
一方、選果場のパート従業員は高齢化が進んでいました。人数も減少。早く調製・選果しないと腐敗につながるため、JA他部署の職員が、時間外に手伝うという状況になっていました。
そんなとき「なにか、できることはありませんか?」と福祉事業所から声かけがありました。
そこで佐城園芸センターでは、選果場の課題だったタマネギの調製作業を、福祉事業所にお願いすることにしたのです。
ご飯もおいしく お薬いらずに
「当初は不安もありましたが、まじめに黙々と作業をやってくれます。すぐに、任せてよかったと思いました」
こう振り返るのは、JAさが園芸販売課の林田晃さん。
福祉事業所のみなさんに、根切り・葉切りの作業を任せられるようになったことで、JA従業員は選果作業に注力できるようになりました。
「しかも仕事がていねいで、仕上がりがきれい。うちは規模が小さいぶん、品質で勝負したいので、その意味でもありがたかったです」
JA園芸販売課課長の野田裕貴さんは目を細めます。
福祉事業所でも、うれしい変化が生まれ、就労支援にもつながっています。農福連携コーディネーターの品川香織さん(54)は話します。
「出来高制なので、やりがいがあるようです。来るのが楽しみで、仕事をすればご飯もおいしくなり、体力もつく。ここで働くようになって、お薬を飲まなくてもよくなった方もいるんです」
こうした成果を受けて、佐城園芸センターでは、キュウリやアスパラガスの選果場でも、農福連携事業を始めています。
「これからもよい関係を継続していきたいですし、生かせる場面は他にもあると思います。農業と福祉の両方にメリットがあることを、もっとPRしていきたいですね」
野田課長は、力強く話してくれました。
文=茂島信一 写真=繁延あづさ