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産直施設の新しいカタチ TRETAS

  • 福井県 福井県JAグループ(福井県福井市)
  • 2024年10月

食と農の販売・体験交流の拠点

産直施設の新しいカタチ
TRETAS

福井県の各地から、自慢の農産物を取りそろえた産直施設TRETAS(トレタス)。
デジタルの力を生かし、生産者と消費者をつないで〝福井〟の魅力を発信しています。

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 北陸新幹線の延伸で、首都圏からの観光客が増えている福井市。その地に今春オープンしたのが、福井県JAグループの産直施設「TRETAS」(以下、トレタス)です。令和二年、県内十JAが合併してJA福井県となったスケールメリットを生かし、米や野菜などの農産物、肉や魚など各地の自慢の味を販売しています。
 農産物コーナーは三百五十人の生産者が出荷。嶺北(県北部)の真っ赤なトマトや青々とした葉物、嶺南(県南部)からは緑の濃いキュウリやつややかなナスなど、県全域の新鮮な野菜が美しく並んでいます。

「野菜の新鮮さや味、品ぞろえでは、どこにも負けません。多くの生産者がいる福井県JAグループだからこそ、できることです」
 そう話すのは、JA福井県経済連・販売事業部次長の深町治男さん。店長も務めます。
 新鮮かつ豊富な品ぞろえは、福井県JAグループが構築した広域集荷システムのなせるわざ。集荷所を県内九か所に設置し、うち六か所は既存直売所に併設しました。生産者は、いつもの出荷のついでにトレタスへの出荷が可能に。新規出荷者も増えています。

 トレタスには米や野菜のほか、若狭牛を扱う精肉店や漁港から直送の鮮魚店、老舗豆腐店も出店。JA経済連直営のベーカリーでは、県産米粉のパンを製造・販売しています。隣接する加工場で手がける大福餅や総菜も人気です。

 このように福井の食や農を集めたトレタスですが、たんなる産直施設ではなく、デジタルやメディアで発信する次世代型の産直施設です。
「“ふくい食と農デジタルプラットフォーム”として開業。デジタルとリアルをつなぐ複合型施設であり、メディアと共同して食や農、地域や文化を発信する体験交流拠点であることも特徴です」
 こう話すのは、トレタス開業に携わったJA福井県中央会・戦略アドバイザーの今洋佑さんです。
 宣伝や告知には、積極的にデジタルを活用。館内のデジタルサイネージ(情報発信システム)は、新商品やイベントを効果的にPRしています。

 また、生産者が注目するのは施設のライブカメラです。専用アプリで売り場の確認ができ、追加出荷などの販売機会が広がると好評です。
 そして、地元メディアの福井放送と共同運営のイベントホールや、キッチン付き放送・配信スタジオを併設しています。ホールでは催しを随時開催。またスタジオでは、農産物の入荷情報を配信。旬野菜のライブクッキングには、来店客が足を止めます。
「番組は生産者も視聴します。野菜のPRが、出荷促進にもつながります」と、今さん。

福井の農産物を全国へPRしたい

 福井県美浜町でキュウリやナスを栽培する福田新八さん(36)は、週三日ほどトレタスへ出荷。ライブカメラや配信ラジオを、仕事の合間に活用しています。
「カメラは出荷状況を確認して次に備えます。ラジオは他地域の情報が参考になります。嶺南の野菜が福井市内でどう評価されるかが楽しみです」
 福田さんは、目を輝かせながら話します。
 そして、トレタスでは地域や次世代の生産拠点として、リアルな連携にも力を入れています。農業のだいご味を体感できる体験農園や、若手経営者を支援するチャレンジショップを開設。新たな客層も呼び込んでいます。


 開業から半年。デジタルとリアルをつなぎ、福井の食や農の販売・体験交流の拠点となっているトレタスは、今後も進化を続けます。
 深町店長は言います。
「メディアとの連携を深め、福井の農作物を全国へPRしていきたい。県外からも人が訪れる魅力的な施設に育てていきたいですね」
 同時に、トレタスから距離にして約二キロのJA経済連敷地内に六次化加工施設を設置。SDGsも念頭に置き、規格外農産物の加工品を県内の産直施設 ・Aコープに供給し、生産者の所得増大と、消費者に安全・安心を提供する取り組みを開始しています。

文=森 ゆきこ 写真=前田博史

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