地域にエール!

継続は力なり! 食育ソムリエがもてなす直売所

  • 福島県 福島県JA夢みなみ はたけんぼ(福島県須賀川市)
  • 2024年11月

多彩な食育活動が評価

継続は力なり!
食育ソムリエがもてなす直売所

消費者と生産者の架け橋となる食育ソムリエ。
多くのスタッフが資格を取得するなか優れた活動ぶりが評価された農産物直売所があります。

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 食育ソムリエとは、食と農に関する知識を持ち、食文化の啓発をして、食と農をつなぐ専門家です。この資格は、農産物直売所の従業員や生産者を対象に、平成十七年に日本協同組合連携機構(JCA)により創設されました。
 これまでに誕生した食育ソムリエは、全国で三千人を優に超します。消費者と生産者を結ぶコーディネーターとして、各地で活躍しています。
「食育ソムリエは直売所に特化した資格で、野菜の保存法や食品表示管理の仕方から、生産者と消費者を結ぶイベントの組み立て方やレシピ考案など、とても幅広い分野を学ぶことができます」

 そう話すのは、福島県須賀川市にあるJA夢みなみ農産物直売所「はたけんぼ」を運営する、㈱JAサービス夢みなみ企画部兼総合フード部担当部長の澤山聖美さん。じつは食育ソムリエの第一期生。長年にわたり、はたけんぼの食育活動を担ってきました。
「開店したのは平成十五年。地域の食や健康への意識が変わってきた頃でした。十七年には食育基本法が公布され、気運は高まっていました」
 澤山部長は振り返ります。手作り新聞の配布や料理教室の開催、農業体験や食育講座など、この時期から立ち上げたイベントは数知れません。

他店と差別化でき客との親密さも向上

 精力的に活動する、はたけんぼでしたが「直売所内で食育ソムリエは増えなかった」といいます。転機となったのが、東日本大震災でした。
「消費者と生産者を結ぶという、はたけんぼの活動から価値を実感してもらえたのでしょう。これを機に、食育ソムリエを志望するスタッフが増えたんです」
 現在、はたけんぼで活躍する食育ソムリエは十六人。JAの他二店舗も合わせると、二十五人になります。各店舗で、地域の特性に合わせたイベントを開催しています。 
 食育ソムリエによる情報発信の効果として、他の直売所との差別化ができ、消費者が来店する動機につながりました。リピーターが増えてきて、親密さも向上。野菜のレシピや保存法のほか、地域の話題にまで話がおよびます。

 はたけんぼは令和六年、全国で初めて「食育ソムリエエンパワラー」を受賞。地道な活動を続ける食育ソムリエの中から、とくに優れた人物や店舗を表彰する制度です。地域と深くつながり、地元農産物を使って商品化するなどの多彩な活動が評価されました。
 受賞後、来店者からは「おめでとう」の声がかかり、スタッフのモチベーションもさらに上がりました。
「食育は子どもだけのものではなく、また特別なことでもありません。受賞を励みに、これからもスタッフで力を合わせて、食と農について地域に伝えていきます」
 澤山部長は、気持ちを新たに前を向きます。

文=井上宏美 写真=鈴木加寿彦

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