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めった汁
- 石川県 JA小松市女性部加工部会(石川県小松市)
- 2025年1月

具がたっぷりで滋味豊かな汁物
めった汁
寒い季節には欠かせない郷土食です。能登半島地震の被災地での炊き出しで提供して大好評。
その味を次代につないでいきます。

めった汁は、寒い季節によく食べられる石川県の郷土料理です。ダイコンやニンジン、レンコン、サトイモ、サツマイモほかキノコ類や豚肉など、たくさんの具材を入れることから「めったに食べられないごちそう」という意味で、こう呼ばれるようになったと一説では伝わります。
JA小松市の女性部加工部会は、地域の伝統的な農産物加工品作りの技を守り、次世代に伝えることをテーマにして活動。令和六年は能登半島地震の被災者支援のため、被災地や二次避難所を訪問し、郷土料理の弁当やめった汁を作って提供しました。

「寒さが厳しい時期だったので、温かいめった汁は喜ばれました。〝早く家に戻って、こんな料理を作りたいわ〟と、故郷を思い出して涙ぐまれる年配の女性もいました。今もたいへんな生活を余儀なくされている被災者を思うと、涙が出てきます」
そう振り返るのは、JA小松市女性部部長の中田由利香さん(67)。めった汁の魅力は、体の芯から温まる滋味豊かでやさしい味わい。大きな鍋にたくさんの野菜を入れて作ることで、複雑なうまみが出ておいしくなると中田さんは話します。
被災者と話すのもたいせつな支援
女性部では令和六年二月、二次避難所となった小松市の旅館で炊き出しをしました。三十五人ほどが避難していましたが、用意した百人分のめった汁は、被災者ほかボランティアの人たちにも大好評。あっという間に大鍋が空っぽになったそうです。
また、五月には電気や水道が復旧した七尾市の避難所にも炊き出しに向かいました。しかし、まだガスが使えず、卓上型の電磁調理器での調理に苦戦。ほぼ調理済みのめった汁を持っていったものの、仕上げに加えた野菜がなかなか煮えず、予定以上の時間がかかってしまったそうです。
「被災地では予想外のことも起こります。状況をよく調べてから、行かなければならないことを学びました。それに、被災者の話し相手になることも、たいせつな支援になることを知りました」

今後の活動では、レシピ本では伝えきれない、農産物加工品や郷土料理の細かなポイントやコツを、年配者から教わって若い人たちに伝えていきたいと語る中田さん。JA小松市女性部が運営する、親子で食と農について学べる「わくわくキッズ農園」などを通じ、郷土料理のおいしさを次世代につないでいきます。

「めった汁」の作り方

材料(20皿分)
- 豚肉 200g
- ダイコン 1/2本
- ニンジン・ゴボウ 各2本
- レンコン・サツマイモ 各300g
- サトイモ 500g
- シイタケ 6枚
- シメジ・エノキタケ 各1株
- ハクサイ 1/4個
- 長ネギ 4、5本
- こんにゃく・油揚げ 各1枚
- みそ 250g
- 白だし 適量
❶ 具材を食べやすい大きさに切る。ゴボウ、レンコンは水にさらす。フライパンで豚肉をかるく焼いておく。

❷ こんにゃくは握り拳でよくたたき、スプーンでちぎると味がしみやすい。

❸ 大鍋に3Lの水とダイコン、ニンジン、ゴボウ、レンコンを入れて火にかける。火が通ったらサトイモ、こんにゃく、油揚げ、ハクサイの白い軸の部分を加える。

❹ ③が煮えたらサツマイモ、キノコ類、ハクサイの緑色の部分、長ネギ、①の豚肉を入れる。最後に白だしを加え、みそを溶く。


冬のお昼は
めった汁が
定番

酒粕を
足すと体が
ポカポカに
文=加藤恭子 写真=加藤熊三