大地のおくりもの

グリーンザウルス

  • 宮崎県 JAみやざき 西都地区本部 ピーマン部会(宮崎県西都市)
  • 2025年2月

肉厚で苦みマイルド 栄養たっぷりのピーマン

グリーンザウルス

冬春ピーマンで、全国一の出荷量を誇る宮崎県。その先駆けとなった産地では未来を見すえた新たな挑戦が始まっていた。

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本来、夏野菜であるピーマンも、今ではすっかり年間を通して食べられる野菜になった。
その立て役者といってもいいのが、宮崎県だ。冬から春にかけて出荷される促成ピーマンは、全国一の収穫量を誇り、「グリーンザウルス」のブランド名で全国へ出荷される。
 名づけ親は、名古屋市の主婦だとか。「ピーマンをいっぱい食べて、恐竜みたいに強くなってほしい」という子どもへのメッセージが込められているという。
 とりわけ、宮崎県産のピーマンは栄養豊富だ。南国の日光をふんだんに浴びて育つことで、βカロテンの含有量は全国平均の一・五倍、ビタミンCは一・四倍。しかも肉厚で、表面はツヤツヤ。苦みもマイルドで食べやすい。

 そんな宮崎県産ピーマンのパイオニア的な産地が、西都市である。もともと水田地帯だったが、促成ピーマンの栽培が本格化したのは、昭和四十二年ごろだった。
 米に代わる新たな成長品目として、市場に出回り始めたピーマンにスポットが当てられた。先進地の高知県へ視察に行き、技術を持ち帰ると、栽培面積は一気に拡大した。
「ハウスの建設ラッシュで、営農指導員は毎日測量に飛びまわっていたそうです」
 JAみやざき西都地区本部営農部の黒木俊作さんが、当時の活気を語ってくれた。

データの共有と生産者の育成に着手

 それから約六十年。西都市は今でも市町村別で県内最大の栽培面積を誇るが、改革の節目を迎えようとしている。
 ピーマンの促成栽培が全国に普及。産地も生産量も増え、高単価は見込めなくなった。また、重油や資材なども高騰の一途をたどっている。
 気がつけば、三百人いた生産者も約半数に減少している。産地の未来に危機感を募らせたJAみやざき西都地区本部ピーマン部会は、ふたたび高知県へと研修に行き、ヒントを探った。
 そして、経験や勘頼りだった栽培を見直し、温度や湿度といったデータを生かした栽培への転換に着手していった。同時に、成績のよい生産者のデータを集めて部会内で共有した。
 JAでは、新規就農者のトレーニングセンターを開設。産地を挙げて生産者の育成に取り組むことで、若手の部会員が増えているという。部会長の壹岐知之さん(49)は、手ごたえを感じている。

「宮崎で最初にピーマンに取り組んだ自負もあります。新たな挑戦で、なんとか宮崎のピーマンを盛り上げていきたいですね。宮崎は家族経営が多く、施設も昔のままの家が多いのですが、やり方しだいで、まだまだ収量は上がると思います。伸び代があるぶん、楽しみはありますよね」
 そう目を輝かせる壹岐さん。
「どうすれば、収量が上がるのか。毎年毎年、一日一日が勉強。これからも、ピーマンといっしょに成長していきたいです」

文=茂島信一 写真=繁延あづさ

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