地域にエール!

住民による地域のためのSUN・SUNハウス

  • 岐阜県 JAひだ管内 SUN・SUN会 (岐阜県高山市)
  • 2025年2月

行政、JAも快く後押し

住民による地域のための
SUN・SUNハウス

地域住民が主導して立ち上げました。
Aコープ跡地を活用した「集いの場」は地域の交流拠点として注目されています。

カテゴリ

 間もなく雪が舞いそうな、岐阜県高山市朝日町の初冬。国道沿いの年季の入った建物に入ると、暖かい室内の遊具で遊ぶ子どもたちの笑い声、女性が奏でる古いピアノのやわらかな音色が聞こえてきました。
 焼きたてのパンを販売するコーナーでは「おれはこのメロンパンが好きなんだよ」と、パンを手にした年配男性がレジで談笑する姿も。
 ここは、かつて町内唯一のスーパーマーケットで、平成三十年に閉店した「Aコープ朝日」の跡地。JAひだに隣接するその建物を利用して、令和六年四月、地域住民で運営する集いの場「SUN・SUNハウス」がオープンしました。
 JAひだ朝日支店支店長の廣田令寿さんは、その誕生の経緯を説明します。
「地域が元気でなければ、JAも元気になれません。わたしたちも地域の一員として、地域のために関わっていくため、Aコープ朝日の店舗跡を地域の活動拠点として活用したいと考えていました」

 とはいえ、数年間使われていなかった空き店舗は、まるで廃品置き場のような状態。使われていない大型冷蔵庫などが所狭しと置かれていたため、まずはそれらの撤去費用を、だれがどう捻出するかが問題になりました。
 そこで廣田支店長が、高山市議会議員の石原正裕さん(49)に、空き店舗の活用を相談。石原市議は、住民が話し合う場をつくり、「高山市地域課題解決型事業活動プランコンテスト」への応募も提案しました。
 結果、JAひだ助けあい組織「山びこの会」による、空き店舗を利用した活動プランが優秀賞を受賞。その助成金で一部費用を賄うことができました。石原市議は、こう話します。

「少子高齢化と過疎化が進むなか、追い打ちをかけるように近年、新型コロナウイルスの感染拡大が人々の自由な交流を妨げてしまいました。そこで、地域の人々のつながりを再構築するためにも、国道沿いにあるこの建物に〝地域の交流拠点〟としての大きな可能性を感じました」

自由に発言でき挑戦する場所

 令和六年七月にはSUN・SUNハウスの運営のため、地域住民からなる地域自主組織の「SUN・SUN会」が誕生。会長に就任した町内で建具店を営む森本守さん(70)と副会長に就任した子育て中の池田紗代さん(38)は「ここが世代を越えた人と人との出会いの場になればうれしい」と、声をそろえます。森本さんは思いを語ります。
「元気な町づくりのためには、人と人のつながりがたいせつです。SUN・SUNハウスは自分のアイデアや、やりたいことを自由に発言でき、その実現に向けて、みんなで協力し合って挑戦する場所。地域の人はもちろん、都会とのつながりも生まれると考えています」

 現在の会員は、六十八人です。地域住民による、地域のための活動であれば、会員を通じて連絡することで、だれでも利用することができる仕組みです。
 八月には六日間にわたる夏休みイベント「SUN・SUNまつり」を開催。地域の木工職人による宝箱作りのワークショップや、地域食堂、eスポーツ大会などが開催され、町内外から延べ六百人が来場するにぎわいでした。
 森本さんは、自ら企画した「魚つり教室」を担当しました。外国人観光客の飛び入り参加もあり、川で釣った魚を子どもたちとさばいて塩焼きにして食べました、と笑って振り返ります。
「ここは飛騨川上流に当たり、天然の魚が多く生息しています。この自然豊かな郷土を、子どもたちに知ってもらいたいと思って企画しました。多くの人に楽しんでもらえる企画を、これからも実現していきたいですね」
 SUN・SUNハウスを中心に人々が集まることで、隣接するJAひだにも安心感と親しみを持ってもらえればうれしい、と廣田支店長。安心できる地域社会づくりに貢献し、地域力が向上することこそが、健全なJA経営にもつながると力強く語ります。

文=加藤恭子 写真=加藤熊三 写真提供=JAひだ

「協同の縁」がIYC認定事業の第1号

 令和6年10月、岐阜県高山市でSUN・SUN会の主催する「『協同の縁』交流会in飛騨高山」が開催されました。このイベントが、2025国際協同組合年(IYC2025)事業の国内第1号に認定されました。
「今だからこそ、人と人の繋がりを見つめ直す」がテーマ。JA愛知東「地域ささえ愛」組織、JAグリーン近江管内から「桜谷地域農村RMO推進協議会」の先進事例発表のほか、グループワーク、パネルディスカッションなども実施されました。

ふれあいJA広場・
ローカルホッとナビ

本サイトは、全国47都道府県のJAやJA女性組織の活動をご紹介する「ふれあいJA広場」のWEB限定記事と、月刊誌『家の光』に掲載している「ローカルホッとナビ」の過去記事が閲覧できるサイトです。
皆さまのこれからの活動の参考にぜひご活用ください。

2024年3月までの「ふれあいJA広場」記事は、旧ふれあいJA広場をご覧ください。