地域にエール!
シシトウと女性グループが“生長&成長”
- 新潟県 JA新潟かがやき管内 GROW GROW(新潟県新潟市)
- 2025年2月

JAも女性生産者を応援!
シシトウと女性グループが
“生長&成長”
シシトウ栽培が縁で出会った女性四人。行政、JAとも協力し実績を上げています。
さらなる夢も大きく膨らんでいるようです。

稲刈りの終わった水田が広がる、新潟市西蒲区。ハウスの中では、白い花が次々と咲き、均一な果形のシシトウガラシ(以下、シシトウ)が、枝もたわわに実っていました。
「花のつきぐあいもよくて、まだまだ元気。十一月初めくらいまで出荷できそうだね」
真剣なまなざしでシシトウの株を観察する四人の女性は、令和六年三月に結成された女性生産者グループ「GROW GROW」のメンバーです。

シシトウを中心に、トウモロコシなども栽培。会長の齋藤こずえさん(50)は、梅原千旦さん(39)との出会いがグループ結成のきっかけだったと振り返ります。
「一人で農業をしているのですが、以前から近くに女性の生産者仲間が欲しいと思っていました。そんなとき、わたしのハウスに見学に来てくれたのが梅原さんでした」

食用ギクを栽培する祖母を手伝っていた梅原さんは、就農したいと考えて市役所に相談。そこで紹介されたのが、十年ほど前からシシトウを出荷していた齋藤さんでした。
さっそく、シシトウ栽培を始めた梅原さん。その後、もう一度ハウスを見学したいと相談。齋藤さんは「せっかくなら」と、新潟県農業普及指導センターの普及指導員に来てもらい、令和五年六月、圃場巡回指導会を開催することにしました。

そこに新たに参加したのが、イチゴ農家でシシトウ栽培三年めの竹内裕子さん(40)。齋藤さんは、以前から竹内さんのことを知っていました。
「シシトウ栽培の上手な人がいると、竹内さんのことを聞いていました。でも、会ったのはこのときが初めて。たがいに圃場を見せ合い、仕立て方の違いに驚きました」
八月には、二度めの圃場巡回指導会を開催し、千葉県出身の鷲尾紀子さん(35)が新メンバーに加わりました。全員が車で十分以内の近所でシシトウ栽培をしていますが、それまでだれとも話したことがなかったと、竹内さんは笑います。

「あの人、JA新潟かがやきの出荷場で見たことがあると思っても、声をかけられませんでした。齋藤さんが声をかけてくれたおかげで、みんなとつながりができて、農業がより楽しくなりました」
すべて隠さずみんなで成長を
「GROW GROW」の活動の中心は、圃場巡回指導会です。六~九月に、県の普及指導員と共にメンバー全員のハウスを毎月巡回。生育状態や病虫害の発生といった情報を共有します。
梅原さんは当初、恥ずかしくて自分のハウスを見せられなかったと振り返ります。
「うちのハウスは、昔は水稲の育苗に使っていたのですが、長い間使っていなかったので、古くて小さくてボロボロ。しかも、わたしは一年めのシシトウ栽培で失敗しました。たぶん水不足が原因。他の人のシシトウと比べると違う植物かと思うほど、弱々しい姿になってしまいました」
しかし「悪い状態も含めて、みんなでありのままを見せ合って成長していこう」という齋藤さんの声かけによって、自分のシシトウの生長ぶりも見てもらわなくてはと、梅原さんは決心しました。
わからないことや迷うことがあれば、SNSのグループラインで質問。すると、すぐにメンバーからアドバイスが返ってくる関係です。二年めは見違えるほどの立派な株に育ったと、ほほ笑みます。

令和六年には、山形県の大規模シシトウ農家の視察と、南魚沼地域の伝統野菜『神楽南蛮』の加工場の見学を実施しました。将来的には、シシトウをはじめ西蒲区産の食材だけで加工品を作っていきたいと、四人は夢を語り合っています。
「西蒲区では冬の水田に網を張って野ガモをとる、伝統的なカモ猟が受け継がれています。そうしたこの土地ならではの食材を使って、加工品作りができたらいいですね」
そう話すのは、自らもカモ猟の免許を持つ竹内さん。女性生産者の仲間をさらに増やして〝GROW GROW(生長&成長)〟の心意気で、四人は前進していきます。
文=加藤恭子 写真=加藤熊三 写真提供=JA新潟かがやき